時事通信社
2007年・事前企画記事

自覚は一家の大黒柱
 =ある農民工、楽しみな五輪にジレンマも=

【北京だより】
農民工と呼ばれる出稼ぎ労働者(中国・北京) 早朝から重い物を運び、昼につかの間の休息を取ると、午後の仕事に戻る。日給は安く、あすの仕事の保証もない。農村部からの出稼ぎ労働者、農民工の仕事はきつい。
 河南省から来た張国勝さん(49)は、北京市内の国貿地区で働いている。今回は17歳のおいを連れてきた。日給は張さんが45元(約700円)、おいが35元(約550円)。同じ現場では最低ランクの稼ぎだという。
 「仕事によって給料が違う。責任者がよく変わるし、変わると前と同じ額がもらえない」とぼやく。朝5時半に起き、自転車で1時間半かけて現場に着き、夕方5時半に仕事が終わると、1時間半かけて安宿に帰る。宿にテレビはなく、夕食を食べて、シャワーを浴びて寝るだけの毎日だ。
 故郷の家には奥さんと息子夫婦がいる。奥さんの体調は悪く、息子は言葉が不自由でいじめに遭ってきた。「仕事はきついし、大変だが、(稼ぎを)当てにされているから」。社会の「底辺」にいるかもしれないが、一家の大黒柱の自覚で働いている。  北京五輪について聞いてみた。「五輪をやったら、外国人は中国をいい国だと思ってくれると思う」。諸外国から観光客があふれる五輪期間中、北京の対外的な「見栄え」を良くするため、農民工は農村部に強制的に戻される、とのうわさが流れている。「まだ言われていないが、心配している」と張さん。五輪は待ち遠しいが、ずっと仕事は続けたい。切実なジレンマが、そこにはある。(北京時事) 写真説明:足場が危うい建設現場で働く農民工と呼ばれる出稼ぎ労働者(中国・北京) (配信:2007/10/17)

   

北京五輪名場面集