時事通信社
記者ブログ

作られた空?

晴れた日の北京 「狙い」探す日々 大したことない雨だったから、傘をささずに歩いていた。暑さの中、ちょっと気持ちいいし…。すると、おどかすような記者仲間の声。「ここの雨にはぬれない方がいいんじゃない。何が混じっているか分からないよ」
 「人工降雨」や「人工消雨」。北京五輪がきっかけで知った言葉だ。それでも人工的な雨の操作なんて、と半信半疑だったが、どうも本当らしい。8日の開会式では会場周辺の雨雲を散らすため、1000発以上のロケット弾が発射され、雨雲の移動に成功した、などと新華社が報じた。衝撃的だった。
 作られる空。そんなイメージが出来上がったおかげで、晴れても曇っても理由を探してしまう。五輪開幕からもやがかかった曇天の日ばかりが続いたが、11日からの1週間は青空の日が増えた。
 「なるほど、大会がだんだん盛り上がってくるところで晴れの日を続けるために、しばらく曇らせたり、にわか雨を降らせたりしていたのか」。
雨の日の北京 そうかと思えば、女子マラソンがあった17日は走る選手に好都合の曇り。「そうか、晴れを増やしておいたのは、すべてこの日の曇りに備えてのことだったんだな。うん、なかなか奥が深い」。
 くだらないことをと思うだろうが、ついそんなことを考えてしまうきょうこのごろである。
 北京入りした8月1日夕方から、翌日、翌々日と青空が広がった。「北京の大気汚染なんてどこにあるの」って感じですがすがしかった。その空が自然だと思ったからだ。でも、作られたものに見え始めると、何となく感動が薄れる。
 中国の人にとっても自然の空がいいに決まっている。北京在住者は「人工降雨」に抵抗はないのか。時事北京総局の中国人スタッフに聞いてみた。
 「人工消雨はよく知らないけど、人工降雨は前からあった。北京は年間通じて乾燥していて、傘もあまりいらないほど。慢性的な水不足なんだ。やっぱり人間優先だから、人工でも仕方ない。いま、南の方から太いパイプで水を運ぶために大規模な工事をしているよ」
 つまりはそういうわけ。住む人にとって水不足は切実な問題。「人工降雨」はその土地に必要なもので、体に害さえ与えない限り、外部の人間がとやかく言う問題ではなさそうだ。
北京五輪は順調に日程を消化し、閉会式も迫ってきた。「最近は晴れの日が多くなってきたけど、このまま晴れで閉会式まで乗り切れるのかなあ。それとも一発雨を入れておいて、晴れを作るのかなあ」
 実際にどの程度、天気を操作しているかのか、はまったく分からない。ただ、勝手気ままにそんな想像を膨らませている。(北京時事)
晴れた日の北京(8月18日)と、雨の日の北京(8月21日)(配信:2008/8/21)



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