時事通信社
記者ブログ

ボランティアに支えられる五輪

五輪メーンプレスセンターのセキュリティーチェックの詰め所 今回の北京出張が決まった時、小学生の息子が言った。「お父さん、中国のトイレって、みんな並んで用を垂らすしいよ」。(食事中の方、すみません)
 学校の図書館で中国のことを自分で調べ、その中に中国のトイレの個室は、個室ではなく便器が並んでいるだけというのを読んだという。筆者も2年ほど前に、中国・江蘇省に行った時、そういう公衆トイレがあったのを見たことがあるが、さすがは都会の北京。少なくともわたしの行動半径にはそういうものは見当たらない。
 が、違う意味で衝撃的なことがあった。世界中からのメディアの拠点となるメーンプレスセンター(MPC)。わが時事取材団も地下1階の1室に居を構えるが、そのMPCのトイレの洗面台付近には、常に若者が立っている。
 最初はたまたま掃除の時間に当たったのかと思ったが、毎回トイレに行くたびにいると、どうもそうではないらしい。ある男性ボランティアに聞いてみると、「トイレをいつもきれいにしておくことが、僕らの仕事」との答え。
 ひっきりなしにトイレに来る記者、カメラマンらが手を洗うたびに、準備している手をふく紙を渡す。さらに洗面台に飛び散った水滴などをすぐさま、ふき取る。一度、巡回してきたお偉いさんのようなおじさんに「まだ汚れが残っている」と怒られているのを見掛けた。日本でも掃除の時間はあるが、彼らはいつもその場所にいなければならない。わが家の息子ではないが、これを機に中国のイメージが上がるかもしれないだけに余計に大変な仕事だ。
 メディア村にも24時間オープンのランドリーやバスの案内係など、多くのボランティアがいる。各競技場では世界新記録が飛び出したり、好対戦で盛り上がったりしている。このままいけば、おそらく「2008北京奥林匹克(オリンピック)」は大成功に終わるだろう。それも、華やかな舞台だけでなく、日の当たらない場所で働く人など約170万人といわれるボランティアに支えられてのこと。それを1日数回のトイレで実感する。(了)
最前線で大会運営を支える若いボランティア。彼らの仕事に対するまじめな姿勢は海外メディアにもおおむね好評だ=五輪メーンプレスセンターのセキュリティーチェックの詰め所(配信:2008/8/22)



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