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金メダルを目指すチカラ

野球・韓国チーム 17日間にわたり世界を沸かせた北京五輪が24日で閉幕した。大会終盤にはソフトボールで日本が鉄腕・上野由岐子の力投で悲願の金メダルを獲得したが、野球の「星野ジャパン」はメダルを逃して4位。日本中の期待を裏切った。この2競技。ともに次回2012年ロンドン五輪では実施競技から外れる。16年五輪以降に復活しなければ、当面は最後の実施。「五輪最後の金メダル」を目指し、各国ともガチンコ勝負(真剣勝負)を繰り広げ、野球は韓国が過去3度優勝のキューバを下して初優勝した。
 野球会場で韓国の歓喜の場内一周や胴上げ、全員が胸を張った表彰式での金メダル授与を間近に見て、五輪で優勝するモチベーション(動機付け)について考えさせられた。ソフトボールは実力世界一の米国が、決勝で日本に敗れた。五輪を含めて主要タイトルをほぼ独占し続けてきた米国は優勝しか想定しておらず、戦う前に決勝後の祝勝会の準備もしていた。
 だが勝負事に絶対はない。日本は決勝トーナメントを一人で投げ切った上野が、気迫満点の投球で米国の4連覇を阻み、優勝後も「まだまだ投げられる感覚がある」と言ってのけた。上野の「絶対優勝する」との鉄の意志が、米国打線を抑え切ったとも言えなくはない。
 野球は準決勝で韓国に敗れ、金メダルの夢がついえた。宮本慎也主将は最後の打者になった代打・阿部慎之助のライナーを取った相手右翼手の姿が目に焼き付いたという。「向こうの方の(勝ちたいという)思いが強かったんだな」と。韓国は24選手中、2年間の兵役義務を終えていない14選手を代表に入れ、銅メダル以上なら兵役免除の「ニンジン」をぶら下げ、各選手が目の色を変えて準決勝に臨んだ。日本に勝ち、銀メダル以上が決まると兵役免除の権利を得た選手たちはうれし涙に暮れた。
 何も軍隊に行くのが嫌、というわけではない。プロ野球選手として2年間のブランクはあまりにも大きく、今後の選手生命を左右する死活問題。「日の丸」を背負った日本選手も金メダルを目指し必死だったが、必死さの「根源」が違っていた。決勝に進むと韓国は国の名誉のため、自国球界の夢結実のために戦い、キューバをも下した。ハングリーに勝利を追ったキューバ選手の落胆ぶりは、見るのも気の毒だった。

◇勝った者が強い
韓国の気迫、そして今回の強さ。米国を含めて準決勝進出4カ国の実力は紙一重だったろう。それでも勝者と敗者がくっきり分かれるのが勝負の世界。日本の星野仙一監督は24日朝、「オリンピックは勝った者が強い。強い者が勝つわけではない」と言った。結果がすべての舞台で苦闘した指揮官の偽らざる心境だろう。
 かくして幾多の歓喜、悲嘆が渦巻いた北京五輪が終わった。4年後のロンドン五輪ではどんな選手が笑い、そして泣くのか。個人的に言えば、次の五輪も勝ちたいと願う選手には思いを遂げてほしい、と思う一方で、既にリベンジを誓っている選手には今回の勝者以上に幸あれと願っている。(北京時事) 野球決勝でキューバを下して優勝を果たし、表彰式で喜ぶ韓国チーム=23日、北京(時事)



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