時事通信社
記者ブログ

細致周到

細致周到 いろいろサービスが行き届いていることを漢字でどう表すのか、手伝ってもらっているスタッフに聞いてみた。「う〜ん、いくつかあるけど、細致周到でしょうか」。なるほど、何となくその通りかな。オリンピックの取材は冬を含めて6度目になるが、今回ほどボランティアに親切にしてもらった大会はない。睡眠時間は1日3、4時間で既に体はぼろぼろとはいえ、北京の居心地は悪くない。いや、思っていた以上にいい。
 世界各国の報道関係者が宿泊している媒体村(メディア村)では、出入りの時にはボランティアが常にドアを開けて挨拶してくれる。未明の4時ごろに帰った時に雨が降っていたが、傘を差してバスまで送ってくれ、「あしたも降るかもしれないから傘を持って行った方がいいよ」などと気軽に話しかけてくれる。ここ20年ほど、自分で洗濯などしたことがなく、全自動の洗濯機でさえも使い方が分からないが、コインランドリー(無料)に行けば、夜でも何人かのスタッフがいて丁寧に洗濯コースや操作方法を教えてくれた。無事に下着も洗うことができたので大いに満足。これで妻に胸を張って日本に帰れそうだ。
 取材陣の拠点である主新聞中心(メーンプレスセンター=MPC)でとる食事も、来た当初は高くてひどいものだったのが、だんだんと改善されてきた。地中海料理、グリルなどいくつかのジャンルに分かれていて、一番合うのがアジア料理。チャーハンや焼きそば、野菜や肉の炒めもの、茹でたアスパラガスやブロッコリー、それに北京ダックまである。味も日本で食べるのとほとんど変わらない。なぜか値段も下がった。後から入ってきたA記者ら数人は、街中で食べて腹の調子が悪くなったらしいが、自分は半月以上いても全く下痢もしていない。ただ、野菜やミルクもたくさん摂っているのに、生活が不規則過ぎるせいか逆に便秘が続いている。
 正直なところ、中国や北京に対してあまりいいイメージはなかった。空気は悪そうだし、大声で話す人が多くて喧しそうだし。食べるものも野菜の残留農薬の問題が指摘されたり、ギョーザ中毒事件があったりした。特に食べ物に関しては、中国産のものは普段から買わない。そういうところに1カ月以上も滞在して、お腹をこわしたり、具合が悪くなったりしないだろうか。来る前から少し気が重かったが、無用な心配だった。
 MPCの我が社のブースから近いトイレにはいつも高校生の男の子がいて、手を洗うたびに洗面台の濡れたところなどをふいてくれている。そればかりか、最近は手を洗い終わるのを笑顔で待っていて、手ふき用のペーパーまで差し出してくれる。ありがたいことには違いないが、何か監視されているようでも。それも便秘の原因の一つか。(了)

(配信:2008/8/11)



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