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記者ブログ

偽物天国を覗き見る

偽物天国 中国といえば偽物天国。のっけから物騒だけど、巷間(こうかん)そう言われる。本当だろうか。確かめてみようと北京の街を歩いた。
 「偽物売ってるとこ教えて」。地元スタッフに聞いた。失礼だとは思ったが。帰ってきた答えは、1フロアに百以上の狭い店舗がひしめき合う「○○市場」と呼ばれるビル。  北京に何カ所もあるといい、そのうちの一つを訪れた。東京で例えるなら、中野ブロードウェーの一つ一つの店舗がもっと小さくなったようなイメージだ。もちろん、すべての店舗が偽物ばかりを扱っているわけではないが…。
 靴屋に入る。目に飛び込んできたのは、あるブランドの子供靴。どこからどう見ても、素人目には本物だ。
 思い切って聞いてみた。「これ偽物ですか」。20代くらいの女性店員はあっさり認めた。拍子抜けする。「絶対に偽物と見破られない。ナイキやアディダスは本物より品質が劣るけど、これは大丈夫」。まくし立てられる。
 どこで作ってるんですか?「福建省から仕入れた。広東省の物とは違って、質には自信があるよ」。妙なライバル意識だ。
 1日平均10−15足売れると言われた。「一度に70足買う外国人もいるよ。お土産にするんだって」。違うんじゃないだろうか。恐る恐る尋ねる。いくら?300元(約4500円)。
 高いです。本物も同じくらいの値段です。それは違う種類でウンタラカンタラ…。また、まくし立てられたけど、聞き捨てならない一言。「オリンピックだから品質が上がっている」。そうなんですか?「いや、いつも品質はいいよ」。否定された。  結局、130元(約1950円)に値切った。アングラ商売だから無理だろうと思いながら領収書を求めると、あっさり出してきた。「生地もロゴも細かい部分まで本物と同じ。質が悪かったら直しますよ。いままで一人も直しにきていないけどね」。帰り際に言われた。
 しかし、当局の調査なんかはないんだろうか。「ルイヴィトンやプラダの偽物は持っていたら罰を受けるけど、これは調査されないから平気」。
 別のかばん店では、棚の上に隠したバッグの中にごっそり入った偽のブランド財布を見せられた。ほかの偽物を取り出して革の比較をし、「これはトリプルAだ」と勧められた。言い値は1200元(約1万8000円)。すぐに685元(1万円強)に下げてきたが、断った。
 時計や化粧品の偽ブランド品もあった。かくして偽物が「市民権」を得ている現実を垣間見た気がするが、これらの品々は軽く海を越え得る。日本はどうなのか。薄ら寒い思いを抱いた。
【注】偽物はあくまで報道・取材目的で購入したものです。絶対に買わないようにしてください。(了)
写真説明 「○○服装市場」地下1階の靴店に並ぶ偽物の靴(配信:2008/8/14)



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