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五輪ヒストリー

「バロン・ニシ」の快挙=第10回ロサンゼルス(1932年)

西竹一中尉 大会のフィナーレを飾る馬術の大賞典障害飛越個人で、西竹一中尉が金メダルに輝いた。閉会式に先立ち10万人の大観衆が見守る中、愛馬ウラヌスに騎乗した西は、難しい障害を次々にクリア、減点8で優勝をさらった。男爵の爵位を持ち国際性も豊かだった西は、現地では「バロン・ニシ」と呼ばれて親しまれており、人馬一体で勝った快挙は地元紙にも大々的に報じられた。13年後の1945年3月、42歳で硫黄島にて戦死。
 31年に満州事変がぼっ発。反日感情の強い中で行われた大会だったが、日本は192人(選手131、役員61)の大選手団を派遣。西中尉のほかにも南部忠平(陸上・三段跳び)、宮崎康二(競泳・100メートル自由形)、北村久寿雄(同・200メートル平泳ぎ)と競泳の800メートルリレーで金メダルを獲得。日本が世界のスポーツ大会の仲間入りを果たした大会でもあった。
 【日本人メダリスト】
 ▼金=南部忠平(陸上・三段跳び)、宮崎康二(競泳・100メートル自由形)、北村久寿雄(競泳・男子1500メートル自由形)、清川正二(競泳・100メートル背泳ぎ)、鶴田義行(競泳・200メートル平泳ぎ)、宮崎康二・遊佐正憲・豊田久吉・横山隆志(競泳・800メートル自由形リレー)、西竹一/ウラヌス(馬術・大障害)
 ▼銀=西田修平(陸上・棒高跳び)、河石達吾(競泳・100メートル自由形)、牧野正蔵(競泳・1500メートル自由形)、入江稔夫(競泳・100メートル背泳ぎ)、小池礼三(競泳・200メートル平泳ぎ)、前畑秀子(競泳・200メートル平泳ぎ) 浅川増幸・三浦四郎・浜田駿吉・中村英一・酒井義雄・小林定義・永田寛・広瀬藤四郎・今治彦・左右田秋雄・柴田勝巳・猪原淳三・小西健一・宇佐美敏夫(ホッケー)
 ▼銅=南部忠平(陸上・走り幅跳び)、大島鎌吉(陸上・三段跳び)、大横田勉(競泳・400メートル自由形)、河津憲太郎(競泳・100メートル背泳ぎ)
(配信:2008/5/12)

◎【その時世界は】
 1929年のニューヨーク株価大暴落に始まった世界恐慌の影響で世相は暗さを増していた。32年には国内で井上準之助元蔵相らが暗殺された「血盟団事件」、青年将校らが犬養毅首相を射殺した「5.15事件」などのテロが続発。中国大陸では日本の傀儡(かいらい)国家「満州国」の建国が宣言され清朝最後の皇帝、溥儀が元首に担ぎ出された。ドイツでは経済恐慌の中で行われた総選挙でナチ党が第1党に躍進し、翌年のヒトラー首相就任へとつながっていく。(了)

ロサンゼルスオリンピック馬術大障害で金メダルを獲得した西竹一中尉【時事通信社】

※主要参考資料
近代オリンピック100年の歩み(ベースボールマガジン社)、最新スポーツ大事典(大修館書店)、オリンピックの事典(三省堂)、国際オリンピック委員会の百年(IOC)、日録20世紀(講談社)、JOCホームページ、熊本県和水町ホームページ

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