時事通信社
五輪ヒストリー

ナチスの力を誇示=第11回ベルリン(1936年)

ヒトラー首相 ベルリン開催が決定したのはドイツがワイマール共和国だった1931年の国際オリンピック委員会(IOC)総会。しかし、1933年にヒトラーが政権の座に就いたため、五輪はナチスの力を世界に誇示する場となってしまった。
 古代オリンピックの発祥地であるオリンポスで五輪の火を採火し、たいまつでメインスタジアムまで運ぶ「聖火リレー」が初めて実施されたのもこの大会。また大会の記録映画「民族の祭典」「美の祭典」は、38年のベニス映画祭で金賞を獲得するなど各方面で絶賛され、不朽の名作とされた。
 競泳女子200メートル平泳ぎでは前畑秀子が地元ドイツのゲネンゲルと激戦を演じ、0秒6差で日本女子選手として初めて金メダルを獲得した。「前畑がんばれ」のラジオ放送は日本中を熱狂させた。陸上棒高跳びでは西田修平、大江季雄が銀、銅メダルを割って友情のメダルを作成。マラソンでは朝鮮半島出身の孫基禎が金メダルを獲得した。
 第5回ストックホルム大会から第14回ロンドン大会まで、オリンピックでは芸術も競われた。内容はスポーツに関する絵画、彫刻、建築、音楽、文学などで、日本はベルリン大会で2個の銅メダルを獲得している。
 【日本人メダリスト】
 ▼金=前畑秀子(競泳・200メートル平泳ぎ)、葉室鉄夫(競泳・200メートル平泳ぎ)、寺田登(競泳・1500メートル自由形)、遊佐正憲・杉浦重雄・田口正治・新井茂雄(競泳・800メートル自由形リレー)、田島直人(陸上・三段跳び)、孫基禎(占領下の朝鮮半島出身、陸上・マラソン)
 ▼銀=遊佐正憲(競泳・100メートル自由形)、鵜藤俊平(競泳・400メートル自由形)、原田正夫(陸上・三段跳び)、西田修平(陸上・棒高跳び)
 ▼銅=新井茂雄(競泳・100メートル自由形)、牧野正蔵(競泳・400メートル自由形)、清川正二(競泳・100メートル背泳ぎ)、小池礼三(競泳・200メートル平泳ぎ)、鵜藤俊平(競泳・1500メートル自由形)、田島直人(陸上・男子走り幅跳び)、大江季雄(陸上・男子棒高跳び)、南昇竜(占領下の朝鮮半島出身、陸上・男子マラソン)、藤田隆治(芸術・絵画)、鈴木朱雀(芸術・水彩)
(配信:2008/5/12)

◎【その時世界は】
 2月26日未明。雪の降りしきる東京で陸軍皇道派の青年将校らが「昭和維新」を掲げて政府要人らを次々と殺害、政府機関や国会がある霞が関、永田町周辺を占拠し、政府機能を一時的に麻痺させた。しかし、天皇による原隊復帰命令が下されてクーデターは失敗に終わった。世に言う「2.26事件」である。また、日本とドイツ、イタリアの軍事的関係が強まり始めたのもこのころからで、世界中で再び軍靴が高鳴りつつあった。(了)

ベルリン五輪の開会式に出席するドイツのヒトラー首相。五輪はナチスの力を誇示する場となった【AFP=時事】

※主要参考資料
近代オリンピック100年の歩み(ベースボールマガジン社)、最新スポーツ大事典(大修館書店)、オリンピックの事典(三省堂)、国際オリンピック委員会の百年(IOC)、日録20世紀(講談社)、JOCホームページ、熊本県和水町ホームページ

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