時事通信社
五輪ヒストリー

「鳥人」ビーモン=第19回メキシコ市(1968年)

釜本邦茂 海抜2240メートルの高地にあるメキシコ市での開催は、空気抵抗が少ないため、陸上の短距離や跳躍で好記録が続出した。中でも男子走り幅跳びでボブ・ビーモン(米国)が記録した8メートル90は驚異的だった。従来の記録を一気に55センチも更新、係員は用意してあった布製の巻き尺では足らず、スチール製の巻き尺を継ぎ足して計測した。ビーモンの記録は、マイク・パウエル(米国)が1991年東京での世界陸上で8メートル95を出すまで破られなかった。
 サッカーでは日本が銅メダルを獲得。エースストライカーの釜本邦茂は6試合で7ゴールを決めて得点王となった。また、日本チームの正々堂々とした試合ぶりへの賞賛も高く、翌年「日本選手はよくルールを守り、ラフなプレーがなかった」との理由でユネスコからフェアプレー賞が贈られた。重量挙げフェザー級では三宅義信が2連覇、弟の義行も3位に入った。陸上棒高跳びではボブ・シーグレンが優勝し、米国が第1回アテネ大会から16連覇、男子マラソンでは君原健二が大健闘し銀メダルを獲得した。
 【日本人メダリスト】
 ▼金=加藤武司・中山彰規・加藤沢男・塚原光男・監物永三・遠藤幸雄(体操・団体総合)、加藤沢男(体操・個人総合、床運動)、中山彰規(体操・つり輪、平行棒、鉄棒)、三宅義信(重量挙げ・フェザー級)、中田茂男(レスリング・フリーフライ級)、上武洋次郎(レスリング・フリーバンタム級)、金子正明(レスリング・フリーフェザー級)、宗村宗二(レスリング・グレコライト級)
 ▼銀=君原健二(陸上競技・マラソン)、池田尚弘・大古誠司・猫田勝敏・南将之・白神守・嶋岡健治・森田淳悟・佐藤哲夫・三森泰明・小泉勲・木村憲治・横田忠義(バレーボール・男子)、高山鈴江・吉田節子・岩原豊子・笠原洋子・小野沢愛子・小島由紀代・福中佐知子・宍倉邦枝・井上節子・生沼スミエ・古川牧子・浜恵子(バレーボール・女子)中山彰規(体操・床運動)、遠藤幸雄(体操・跳馬) 、大内仁(重量挙げ・ミドル級)、藤本英男(レスリング・グレコフェザー級)
 ▼銅=中山彰規(体操・個人総合)、加藤沢男(体操・つり輪)、監物永三(体操・鉄棒)、三宅義行(重量挙げ・フェザー級)、森岡栄治(ボクシング・バンタム級)、加藤武司(体操・床運動)、横山謙三・浜崎昌弘・鎌田光夫・宮本征勝・鈴木良三・片山洋・富沢清司・山口芳忠・森孝慈・八重樫茂生・宮本輝紀・小城得達・湯口栄蔵・渡辺正・杉山隆一・松本育夫・桑原楽之・釜本邦茂(サッカー)
(配信:2008/5/12)

◎【その時世界は】
 第2次世界大戦後の国際秩序には、あちこちでひずみが生じ始めていた。ベトナム戦争は解放戦線側のテト攻勢で泥沼化が進み、チェコスロバキアではより自由な社会主義を目指した動き(プラハの春)がソ連軍の軍事介入によって踏みにじられた。中国では66年に始まった文化大革命で、思想弾圧が行われていた。一方、日本では高度経済成長の陰で公害問題が深刻化、水俣病やイタイイタイ病が公害病に認定された。こうした中で、若者を中心に反戦、反権力運動が広がりを見せ、翌 69年には東大の安田講堂を舞台に全共闘と機動隊が衝突。米国のウッドストックでは愛と平和を求める大コンサートが開かれた。(了)

メキシコ五輪サッカーのメキシコ戦で1点目を決める釜本邦茂。日本はこの試合で銅メダルを獲得した【PANA=時事】

※主要参考資料
近代オリンピック100年の歩み(ベースボールマガジン社)、最新スポーツ大事典(大修館書店)、オリンピックの事典(三省堂)、国際オリンピック委員会の百年(IOC)、日録20世紀(講談社)、JOCホームページ、熊本県和水町ホームページ

五輪ヒストリー


北京五輪名場面集