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五輪ヒストリー

「汚れた英雄」ジョンソン=第24回ソウル(1988年)

カナダのベン・ジョンソン 1981年バーデンバーデン(西ドイツ)での国際オリンピック委員会(IOC)総会で、ソウルが予想外の大差で名古屋を破り開催地に決定。分断国家の一方での開催に危惧もあったが、米ソを筆頭とする東西両陣営が12年ぶりにそろって参加した。
 陸上男子100メートルでは2連覇を狙うカール・ルイス(米国)と前年の世界選手権覇者ベン・ジョンソン(カナダ)の対決が注目を集めた。ジョンソンが決勝で9秒79の驚異的世界新で優勝したが、2日後、筋肉増強剤の一種スタノゾロールの使用が発覚。ドーピング(禁止薬物使用)違反で金メダルをはく奪、世界記録も抹消された。「世界一速い男」は一転「汚れた英雄」となった。水泳では女子でクリスティン・オットー(東ドイツ)が6種目、男子でマット・ビオンディ(米国)が5種目に優勝、男子100メートル背泳ぎでは「バサロ泳法」の鈴木大地が金メダルに輝いた。
 【日本人メダリスト】
 ▼金=鈴木大地(競泳・100メートル背泳ぎ) 、小林孝至(レスリング・フリー48キロ級)、佐藤満(レスリング・フリー52キロ級)、斉藤仁(柔道・95キロ超級)
 ▼銀=宮原厚次(レスリング・グレコ52キロ級)、太田章(レスリング・フリー90キロ級)、長谷川智子(射撃・スポーツピストル)
 ▼銅=小谷実可子(シンクロ・ソロ)、田中京・小谷実可子(シンクロ・デュエット)、水島宏一・小西裕之・山田隆弘・佐藤寿治・西川大輔・池谷幸雄(体操・団体総合)、池谷幸雄(体操・床運動)、細川伸ニ(柔道・60キロ級)、山本洋祐(柔道・65キロ級)、大迫明伸(柔道・86キロ級)
(配信:2008/5/13)

◎【その時世界は】
 前年のニューヨーク株価の大暴落、いわゆる「ブラックマンデー」によって世界経済には暗雲が立ち込めていたが、88年になると国際政治面で朗報が続いた。ソ連は米国などとのジュネーブ合意を受けて、アフガニスタンからの駐留軍撤退を開始、またペルシャ湾の覇権をめぐって約8年間続いていたイラン・イラク戦争も終結した。翌89年には年明け早々、昭和天皇が崩御、激動の「昭和」から「平成」へと時代が変わった。また欧州では東西冷戦の象徴だった「ベルリンの壁」が崩壊し、自由化のうねりが高まった。(了)

ソウル五輪の100メートル決勝で世界新記録でゴールし、手を挙げるカナダのベン・ジョンソン(手前)。しかし、ドーピングの陽性反応が出て、世界記録と金メダルを剥奪された。右端は米国のカール・ルイス【時事通信社】

※主要参考資料
近代オリンピック100年の歩み(ベースボールマガジン社)、最新スポーツ大事典(大修館書店)、オリンピックの事典(三省堂)、国際オリンピック委員会の百年(IOC)、日録20世紀(講談社)、JOCホームページ、熊本県和水町ホームページ

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