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競泳,水球

「金」2ケタへ、正念場=日本勢、偉業も誤算も−北京五輪〔潮流底流〕

 北京五輪が後半戦に入った。日本は、メダルラッシュが期待された前半の柔道、競泳、さらに17日のレスリング女子を終えた時点で金8、銀5、銅7、合計20個のメダルを獲得。日本選手団が目標に掲げた「金メダル2ケタ」をクリアできるか。正念場を迎える。
 日本選手団の福田富昭団長は、15日に中間総括の記者会見を行い「ベリーグッドではないが、ベリーバッドでもない。全般的にはよく健闘している」と語った。その時点で日本の金メダルは5個。福田団長のどこか煮えきれない評価が何を示すのか。一つは誤算であり、もう一つは金メダリストの中身なのだろう。

 ◇柔道で明暗も

 競技初日の9日、「ママでも金」へ、死角は見当たらなかった柔道女子48キロ級の谷亮子(トヨタ自動車)が準決勝で敗れた。終盤に指導を取られた紙一重の惜敗。3位決定戦で一本勝ちしたのはさすがだが、過去4度出場の五輪ですべて決勝を戦っていただけに、よもやの準決勝負けだった。
 柔道では翌日、男子66キロ級の内柴正人(旭化成)が連覇を遂げ、日本人金メダリスト1号に。さらに女子63キロ級で谷本歩実(コマツ)も連覇。2人に共通しているのは、アテネ五輪後に思うような成績が残せなかったこと。だから、前評判は高くなかった。「五輪アスリート」とでも表現するか、ピンポイントで力を出し切るすべを持っている。この波に乗り、女子70キロ級の上野雅恵(三井住友海上)も連覇した。
 競泳男子平泳ぎで、アテネに続き100メートル、200メートルの2種目を制した北島康介(日本コカ・コーラ)は見事の一言。まずは100メートル。準決勝まではノルウェーの新鋭が勢いづいていたが、「勝負は決勝」とばかりに圧巻の世界新で金。この時点で連続2冠の偉業が見えた。福田団長も「精神力の強さがすごい。偉大なスイマー」と絶賛する。

 ◇新顔の台頭少なく

 17日までの日本の金メダリスト7人のうち、6人はアテネの勝者。連覇の快挙は別として、新顔の台頭が少ない。柔道では、競技最終日に男子100キロ超級で五輪初出場の石井慧(国士大)が金を取った。しかし、男子の他の階級では初戦で一本負けを喫するケースも目立つなど銅メダルもなし。もはや「お家芸」とは言えないピンチだ。競泳陣も金は北島だけ。期待された若手がメダルに届かなかった。
 日本選手団にとって別の誤算もあった。女子マラソンで連覇を狙った野口みずき(シスメックス)の故障欠場だ。17日のレースでも、土佐礼子(三井住友海上)が足を痛めて棄権。けがは不運に尽きるが、期待度が大きかったこの種目で入賞者も出せなかったのは想定外だった。

 ◇輝き放つ「銀」

 日本のスポーツ界に光明が差し込んだ輝く「銀」もあった。フェンシング男子フルーレ個人の太田雄貴(京都ク)だ。欧州勢の壁が厚い競技で、日本のメダリストは初めて。日本フェンシング協会が有力選手を絞り込んで「500日合宿」を実施。選手が競技に専念できるよう全面的に支援した集中強化策が実った。アテネ五輪までは個人種目で入賞すらもできなかったが、今回は女子も初めて入賞。フェンシング日本勢の健闘は、五輪対策の好例となろう。
 北京五輪は残り1週間。苦戦が続いている野球の星野ジャパンは、狙っている金を取れるのか。メダルが確定したソフトボールは、それを最高の色にできるか−。熱い戦いは続く。(北京時事) (2008/08/18 21:11)

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