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ソフトボール

「金」への一念、上野318球=鉄腕エース、魂の連投−ソフト〔五輪・ハイライト〕

 どうしても、どうしてもあきらめるわけにはいかない。金メダルへの一念だった。2試合21イニング、318球。上野は投げ続けた。
 打線がようやく応えた。延長12回、無死二塁で始まるタイブレークから得た一死満塁。西山の打球が中堅右へ飛ぶ。3時間23分の死闘に終止符。エースをねぎらうように、歓喜の輪ができた。
 1回に先制点を許した。折れそうな心を奮い立たせ、3回の二死満塁も切り抜けた。4回、広瀬が逆転2ラン。「上野が投げていたので、次につなげるという気持ちだった」という。
 あと一死で決勝進出が決まる7回二死から。失投を同点本塁打された。帽子を取って汗をぬぐう。唯一気弱に見えた瞬間だったが、また心と体にむち打った。
 背筋が凍るようなタイブレーク。延長11回、先に失点した後、打線が追い付いてくれた。「うれしかった。こんなに点を取られても返してくれる。感謝してます」
 午前から始まった準決勝では、強打の米国に対し、速球に頼らず内角を見せ球にした。長身左腕のアボットと互角の投手戦。延長9回に屈したが、「金」を争うチームのエースにふさわしい投球だった。斎藤監督は米国戦後、すぐに上野の連投を決めた。銅メダルはいらない。上野にすべてを託し、エースも応えた。
 ソフトボールは2012年ロンドン五輪で実施競技から外れる。「4年後」はない。米国は高くて厚い壁だが、21日の決勝も「行けと言われれば、行ける自信はあります。この緊張感を味わえるのはここだけ」。魂のエースは、ピッチャーズサークルを見詰めた。(北京時事) (2008/08/21 02:20)

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