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「金銀銅独占」に異唱える=北京五輪、市民の国際化も−中国〔潮流底流〕

 北京五輪卓球女子シングルスで22日、中国勢の張怡寧、王楠、郭躍が金、銀、銅メダルを独占。会場の北京大体育館には3つの中国国旗が高々と掲揚され、中国人観客の口ずさむ「義勇軍行進曲」(国歌)が響いた。
 世界1位の51個もの金メダルを獲得した中国。13億の国民は、金メダルの中に「民族の振興と強大な国家への希望を見た」(中国誌)。その中でも卓球は「強い中国」の象徴だ。
 しかし、ネット上では称賛の声に混じり、全く違う反応も相次いだ。「陸上では一つも金メダルが取れないのはこっけいだ」「卓球を見ても仕方がない。チケットは払い戻しだ」「国家はこの種目に投資する必要はない」「卓球は五輪種目から外れる時が来た」。
 五輪期間中も報道・表現の自由抑圧や開会式偽装など変わらぬ硬直した中国の体制も改めて露呈したが、「愛国心」が強く、個人主義的と指摘される中国人の中に、単に勝利に酔いしれるだけでなく、国際感覚が出てきたのも確かだ。

 ◇指導部の危機管理に批判

 8月8日夜の五輪開会式。メーンステージの壇上には胡錦濤国家主席、江沢民前国家主席を筆頭に最高指導部・政治局常務委員(9人)がずらりと並んだ。
 「一人くらい中南海(政権中枢)に残るべきだ。危機管理上問題がある」。政府内部でもこうした意見が出ているという。
 テロ発生も懸念された開会式で、もし何か突発事件が発生し、指導者がすべて会場内にいたら、誰も指示を出せない。中国の知識人は「危機管理を重視するロシアだったら大統領か首相のどちらかは国に残る」として指導部の方針に異を唱える。
 五輪期間中に北京では結局、観光名所「鼓楼」での米国人夫婦殺傷事件を除けば、大きな安全上の問題は発生しなかった。
 首都の安全を支えたのが北京に約170万人が配置された老若男女のボランティアだ。中国政府関係者は「こうした人海戦術は社会主義国が得意とするやり方だ」と誇らしげに語る。

 ◇ごみ拾いする若者

 国務院直轄研究機関の教授は「四川大地震で多数の若者ボランティアが被災地に向かったが、1980年代以降に生まれた『一人っ子』世代は国際化の中で公民意識が出てきた」と解説する。
 開会式を中継する大型スクリーンの前で、中国選手団の行進に「愛国心」むき出しで拳と声を上げる若者ら。しかし開会式が終了すると、誰から指示されるわけでもないのに、多くはごみ拾いを始めた。
 中国政府も五輪を通じ、新疆ウイグル自治区のテロや鼓楼事件など都合の悪い情報を迅速に公開。外国の記者や選手団らの目に中国がどう映るか国家イメージに敏感となり、かつての「頑固な社会主義」は変わりつつある。五輪と接した若者らに表れた変化は、硬直した国家体制の柔軟化を促す起爆剤になり得る可能性を秘めている。(北京時事)
(2008/08/24 18:44)

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