時事通信社
レスリング

寡黙な男、強豪倒し銀=悔しさと喜び交錯−松永選手〔五輪・レスリング〕

 【北京19日時事】寡黙な男に悔しさとうれしさが交錯した。19日の北京五輪レスリング男子フリースタイル55キロ級。松永共広選手(28)は世界王者ら強豪を次々倒し、銀メダルに輝いた。「世界チャンピオンを目指していた」。悔しさをにじませながら、「メダルが取れてよかった」とも話した。
 実家は静岡県焼津市の浄土宗の寺。4人きょうだいの末っ子で、幼稚園の先生の勧めで6歳からレスリングを始めた。
 小学生時代はレスリングとサッカーに明け暮れた。一時は練習がきついと嫌がったが、レスリングで2年生から全国少年選手権5連覇。中学時代も3連覇し、高校から本格的にレスリングに集中した。インターハイや国体などでも優勝を続け、大学時代は世界学生選手権で優勝した。
 そこから苦しんだ。アテネ五輪はライバルに敗れて出場権を逃す。2006年は世界選手権に行けず、07年は初戦敗退。「言葉を掛けられないほど落ち込んだ」(母侑子さん)。
 3月のアジア選手権で優勝して勝ち取った五輪代表の座。7月上旬、父有宏さん(64)と北京を訪れ、会場を下見した。「苦しい練習をしている。体を張ってる」。喜怒哀楽を表さず、口数の少ない息子が珍しく胸の内を明かした。北京五輪は「集大成」。松永選手は両親に観戦旅費をそっと渡した。
 3回戦と準決勝で世界選手権の覇者らを破ったが、表彰台では傷を負った顔に悔しさを浮かべた。観客席で見守った有宏さんは「悔しい思いもあるだろうが、よく頑張った」としみじみ。侑子さんも「精いっぱいやった。銀でも最高です」と感激に浸った。(了)
松永共広(まつなが・ともひろ)侑子(ゆうこ)有宏(ゆうこう) (2008/08/19 22:08)

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