時事通信社
レスリング

伝統守った、誇るべき銀=松永・レスリング〔五輪・ハイライト〕

 マットを降りると両ひざに手を当ててかがみ込んだ。右耳の裂傷が痛々しい松永の体を、セコンドの和田貴広コーチや富山英明監督が軽くたたいて慰める。「よくやった」。目前の頂点まであと一歩まで迫った28歳の健闘に胸を熱くしていた。
 3回戦で、「世界最強」としてマークしてきたウズベキスタンのマンスロフを2−1で倒した。準決勝では昨年の世界選手権覇者のロシア選手の体を強引に投げ返し、フォール勝ち。勢いからすれば、金メダルの可能性は十分だった。
 ところが、決勝で当たったパンアメリカン選手権王者、米国の21歳セジュードに止められた。もみ合いの中で劣勢に回り、第2ピリオドには投げ落とされるような形で3失点。完敗だった。
 「ここまで来たのに…。金を取らせたかった」。そんな思いが関係者を包んだ。「その実力はある」と富山監督。そして、「格上のウズベクとロシアと戦い、力が残っていなかった。よくやってくれた。感謝したい」とねぎらった。
 前日まで日本男子のメダルはゼロ。五輪での連続メダル獲得が13大会で止まりそうな危機的状況にあった。それを、松永が難敵二人を倒して救った。誇るべき銀メダルだった。
 「世界王者が目標だったから、悔しさはあるけど、メダルを取れたので自分の中ではよしとしている」と松永。日本の伝統を守ったことを問われると、「重圧がなかったと言うとうそ。でも、まずは自分のために頑張った」と謙虚に話した。(北京時事) (2008/08/19 20:53)

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