時事通信社
重量挙げ

まん延する商業主義に批判=「金メダル至上」が露呈−中国〔五輪〕

 【北京19日時事】中国では、18日の北京五輪陸上110メートル障害を右アキレスけん痛のため棄権した劉翔が約15社の内外企業と広告契約を結んでいたことから、国家容認の下で中国スポーツ界にまん延する「商業主義」を批判する声が高まっている。背景には金もうけと結び付いたゆがんだ「金メダル至上主義」が潜み、「スポーツを商業利益の奴隷に没落させる」(中国紙・中国経済時報)との警告も出ている。
 「スポーツを愛する。たとえスポーツがあなたの心を傷つけたとしても」。19日付の中国各紙には劉翔が契約するナイキの全面広告が掲載された。劉翔の顔写真とともに発せられたメッセージを伝える手段も「広告」だ。中国紙・北京晨報は「劉翔の勝敗いかんで広告収益は10億元(約160億円)も違う」と予測。ネット上には「劉翔の背後には利益集団がおり、経済利益のためギリギリになってやっと走れないことを知らせた」との批判が渦巻く。中国紙によると、北京五輪で中国に初の金メダルをもたらした女子重量挙げの陳燮霞の賞金は300万元(約4800万円)超。スター選手になれば、賞金のほか、莫大(ばくだい)な広告収入が入り、国民的英雄である劉翔の年収は8000万元(約12億8000万円)を超えるとされる。バスケットボール男子の姚明、飛び込み女子で北京五輪2冠の郭晶晶もCMに引っ張りだこだ。2005年には男子飛び込みの金メダリスト田亮が派手なイベント活動に積極的だとして代表チームから除名されたが、五輪界の「商業主義」はその後も改まらなかった。一方、党機関紙・人民日報は「劉翔は依然として心の中の英雄だ」とかばう。中国青年報も「劉翔を第2の朱建華にするな」と掲げ、金メダルを期待されながら1984年のロサンゼルス五輪走り高跳びで銅メダルに終わり、自宅窓ガラスを割られた朱建華の二の舞にならないよう社会に寛容さが必要だと訴えた。(了) (2008/08/19 17:15)



北京五輪名場面集